2017年 10月 第213回山行記録
浅間黒斑山、荒船山実施日:平成29年10月7日(土)8日(日) 天候:霧、快晴参加者:19名 男性:7名 女性:12名 担当リーダー:宮寺 Sリーダー:寺尾 レポート:佐藤 |
荒船山はその山容が航空母艦に擬せられ、著名な登山家の記す名
文によっても知られる人気の山、今まで登るチャンスが無かった。
黒斑山は以前に登頂した前掛山からの素晴らしい眺め、なだらかな
草すべりから立ち上がる大きく荒々しい岩壁、見渡す限り広く開け
た浅間の外輪の稜線に魅せられ憧れていた。歩行時間もそれほどで
もないし、リーダーの心強い誘いもあって勇躍参加。
10月7日 曇り 「荒船山」へ
予報では大雨が残る地域もあるとのことだったが何とか上がり曇
天の中定刻にバスは静岡南口をスタート。現金なものだ、参加人員
が思ったより伸びて、会費が大幅に減額、会計を担うサブリーダー
の顔が恵比寿に見える。信州への道は手慣れたもの、新東名、R52、
中部横断道はこのほど六郷ICまで延びている。
中央自動車道を長坂で下りR141を佐久に向けて北上。時々青
空を見せるが空模様は良くない南アや八ケ岳も雲の中。車中リーダ
ーからは新人紹介、旅程/山の説明、会長の山行応援歌の練習には
熱が入る。山道に入るとバスは喘ぎながら登るようだ。登山口のあ
る内山峠にはほゞ予定通りの着。不安定な天気だが上向きとの予報
を頼みに雨具はやめてスパッツのみ。連休なのに車も少なく他の登
山者は見えない。
ストレッチ体操を済ませて登山開始。リーダーのすぐ後に続く。
天気が良ければさぞかし快適と思われる落葉樹林の登山道はアップ
ダウンが続く。濡れた道に落ち葉が重なり下りは要注意だ。霧の森
の中から「ジュリ、ジュリ」とか細く聞こえるのはエナガの鳴き声
か。頭上の枝からは霧の滴がポタリポタリ。霧の切れ間の全面に黒
い岸壁、鋏岩。大きく庇が出ている。過っては修験者が修行した後
らしい。黒く枯れた笹の登山道、淀む霧と頭上からの滴、黙々と歩
く。目の前に一条の細い滝「一杯水」だ。危なっかしい木のハシゴ
を攀じ登り、湿った暗い傾斜のきつい登山路を登りきると霧の中に
明るい落葉樹林に出た。青い笹原に疎らに落葉樹、見れば楓の類が
多い、紅葉には早いのが残念。傍らに一叢のトリカブト、紫の花が
露に濡れている。平坦に続く林の先に避難小屋、その先はトモエ岩
展望台。左手に大きく切れ落ちた岸壁は高度差300mの艫岩。霧
に煙る目の前がすっぱりと切り抜け落ちており転落死亡者もあるら
しい。近づかないように!リーダーの大きな声。期待した展望は残
念ながら霧の中。昼食。山頂へは船の甲板に例えられる平坦な稜線
の登山路、辺りは霧、時々大きな倒木が行く手を遮る、クリンソウ
群落地の看板。緩やかな尾根道の先が荒船山山頂だった、何故か標
識は「経塚山」。「行塚山」とも言われるらしい。展望も無いので
記念撮影を済ませて早々に往路と同じルートで下山。相変わらずの
霧の中、急な登山路は濡れて落ち葉も重なり滑りやすい、特に岩場
は慎重にストックを使わずにゆっくりと下る。ジグザグのアップダ
ウンの続く下山道の先にバスの待つ峠の駐車場を目にしたときは常
にも増してホッとした。
今宵の宿「高峰高原ホテル」へは一時間半ほどのドライブ。今日
登った荒船山山頂より400M強標高の高いところ。周囲に荒船山
では目にしなかった樺の木が目立ち高原の風情。部屋割りの後は入
浴。夕食はハローウイン仮装のボーイがサーブするデイナー、フォ
ークとナイフがやけに輝いていた。心配した体力も持ち堪え良く頑
張ったと自賛。星空見学は遠慮して早めに休ませてもらう。
「行程」
静岡南 6:00 六郷IC 8;00 長坂IC 8:30 内山峠 10:20
ハサミ岩 11:30 一杯水 11:50 トモ岩展望台 12:17 経塚山
(荒船山)13:20 トモ岩展望台 14:05 一杯水 14:35
内山峠 15:45 高峰高原ホテル 17:30
荒船山内山峠 | ||||||||||
| ||||||||||
経塚山山頂にて | ||||||||||
|
10月8日 快晴 「黒斑山」へ
同室のYさんが窓を開けると快晴、彼方に雲海が広がりその先に富士
山、右手には八ケ岳連峰が墨絵のよう。空には一点の雲も無い。期待に
胸が大きく膨らむ。ホテルの気配りで早めの朝食、記念撮影をすませて
登山開始。ホテル前の道路を渡ったすぐの広場が登山口。登山道「表コ
ース」を登りだす。火山特有の溶岩が黒く広がり、溶岩の塊、小石状の
溶岩、富士にも似た砂礫の登山道だ。
生え始めの小さなカラマツの針の葉に朝露がキラリと輝き、コケモモ
か?可憐な白い花が丸く膨らんで広がっている。振り向けば雲海の彼方
に富士山、八ケ岳、その先は甲斐駒ではないかと誰かの声。頂上部に出
るとちょっと長い下り、枯れた笹原の鞍部から溶岩のゴロゴロした急斜
面の登り、暗い森と明るい登山道が交互に続く。ドーム型の小屋、槍ケ
鞘の避電小屋、火山弾からの避難小屋を右手に見て登りきると浅間山の
全容が現れた、赤ゾレの頭。岩と砂礫の急な登山道を登り切るとトーミ
の頭。素晴らしい景観!頂上と間違えたか誰かが、「着いたぞ!」と歓
声。見上げると岩壁の頂に大勢の登山客、あれが目指す黒斑山の山頂だ。
それにしても素晴らしい景色、シャッターを押すのも忘れて思わず見
惚れる。山頂へは暗い森の急な登り道。林が切れるとひょいと黒斑山山
頂に着いた。凄い景観だ! 眼下に広がる草はしり、その先浅間山は裾
野を薄らと黄葉させ、噴煙とも思しき白い綿雲を山頂部の肩に置き、そ
の頂上から下る数条の線、幾多の噴火で形造られてきた山容は厳しい自
然の営みの結果としてはいかにも嫋やかで穏やかに鎮まっている。一方
の対岸は荒々しい岩壁と屹立した岩の尖塔と景観は厳しい。嬉しいこと
にMさんはこの浅間山登頂で「日本百名山」完全踏破。おめでとう!祝
して二人のツーショット。
下山はトーミの頭の下から「中コース」を取る。中コースはあまり使
われてないのか。行き交う登山者は少なく、道が細くて歩き難い。我慢
して暗く湿った長い下りを続けると黄葉したカラマツの明るい登山道に
出た。気分爽快、前方の青空を背に広々とした高原にスキー場やホテル
の建物が見え出した。左手小山の先に見えるは我らが「高峰高原ホテル」
に違いない。満たされた思いが全身を駆け巡る、良かった。小山の裾を
廻ると今朝スタートした登山口、ほぼ予定通りの下山。ホテルの温泉で
汗を流して、ラウンジで生ビール、至福の一時、仲間の顔も皆晴れ晴れ
と満足感いっぱいに見える。
帰りのバスは渋滞も無く順調に走り、富士川道の駅、新東名清水Pで
休憩、予定よりも一時間早い帰着。途中子供たちが家に集まるとのメー
ル、検査入院を控えて何かクレームかと恐る恐る帰宅すると。何と、忘
れていた。金婚の細やかな膳が設けられケーキと祝いがあるではないか。
日頃ガサツな息子達に感謝。最良の登山と重なって何とも言いようもな
い良き日となりました。
初日の荒船山は雲と霧に見舞われてちょっと残念でしたが、初秋の暗い
霧の森の山歩きも印象に残る。二日目の黒斑山は快晴、最高の登山を楽し
みました。責任感の強いリーダー、サブリーダーの心使いに感謝です。
有難うございました。「s」
「行程」
高峰高原ホテル 8:00 槍ケ鞘 9:25 トーミの頭 9:50 黒斑山 10:10
表/中コース分岐点 10:50 高峰高原ホテル 12:00 長坂IC 15:25
清水IC 17:35 清水駅 18:10